園長のことば~園報より~

園長 根内純

日本バプテスト同盟 盛岡仙北町キリスト教会主任牧師

盛岡大学短期大学部 非常勤講師

  • 「知性の育ちと絵本」 (園報80号 2022年6月)
  • †スマホではなく絵本を
     先日、園の環境ウィークを行いました。岩手県幼小中高大専ESD円卓会議の「いっしょにやろうよ、できること!テレビ・ゲーム・パソコンを消して読書する共同行動」に連携して、2009年の第一回目から毎年欠かさずに行っています。これは二酸化炭素排出量削減目的の活動ですが、私としては「テレビ・ゲーム・パソコンを消して読書する」というところに大きな意義を感じています。
     現在育児中のご家庭に対してならば、「スマホ・タブレットを消して絵本の読み聞かせを」となるでしょう。現代の子どもは、使える言葉の数(語彙数)が少ないと言われています。言葉は対話によって習得します。顔と顔を合わせて、じかに語りかけることが、子どもの語彙数を豊かにするのです。絵本の読み聞かせは、子どもの語彙数を増やす最適の手段です。
     人間は言葉を使って物事を考えます。言葉の数が多ければ、それだけ深く物事を考えることが出来るのです。世帯年収が高い人ほど、語彙力が高いという調査もあるようです。(ベネッセ)
     
    †スマホはパチンコ台
     私は、幼児にスマホやタブレットを与えるのは、幼児をパチンコ台の前に座らせるようなものだと思っています。画像と音の強い刺激は、子どもの興味を引きます。新しい刺激と興奮を求め続けますが、対話がないので言葉の習得には繋がりません。
    大人が、仕事や家事の合間に頭や身体を休めるために、ゲームをしたり映像を見たりすることは否定しません。私もしています。しかし、脳の発達中の幼児には、落ち着いた環境の中で、様々な実体験をする方が大切だと思います。
    パチンコ台の前に座っているだけでは、ただただお金と時間を浪費するだけで、パチンコ店の経営者やパチンコ機の設計者にはなれません。それと同じように、ゲームをしているだけではゲーム制作者にはなれないし、ユーチューブを見ているだけではユーチューバーにはなれません。絵本の読み聞かせや実体験をさせることが、幼児の将来の可能性を広げます。
     
    †丁寧に作る科学絵本
    絵本には、大まかに分けると物語絵本と科学絵本の二種類があります。今年も園の自然観察会に来てくださっている澤口たまみ先生は、科学絵本の作家でもあります。先生によると、福音館書店の科学絵本の制作には、最低でも三年はかかるそうです。文も絵も間違ったものは載せられないので、じっくり丁寧に作られているのです。
    仙北町幼稚園の自然観察会を基に作られた絵本もあります。「とんぼとんぼあかとんぼ」と「ようこそぼくのてのひらへ」の二冊です。どちらの時も、澤口先生とご一緒に絵の作家さんと編集者の方が園に来られて、園児達と一緒に自然観察会をしました。丁寧に作られた科学絵本の読み聞かせは、言葉だけでなく、子どもの実体験をも豊かにしてくれると思います。
    仙北町幼稚園の本棚には、その他の面白い絵本もたくさんあります。園児たちが絵本好きになるように、私はよく善隣館書店の佐々木さんや東京の絵本専門店「クレヨンハウス」の書店員さんなどとお話をして、良い絵本を探しています。また、先日はビリケン出版の三原ご夫妻に、面白い絵本を数十冊も寄贈していただきました。
    毎週園児達は、園の絵本を借りて帰ります。どうぞその絵本を、お家で何度も読み聞かせしてあげてください。それが子どもの言葉と知性の育ちになるのです。